さて、このブログの最初のテーマは合同会社の設立時の計算です。どのようなテーマを書いていこうかと迷ったのですが、私のメインの研究課題が合同会社で、その会社法上の計算についてまとまった解説をしている書籍がほとんどないので、まずは、それを連載していこうと思いました。おそらく、基本的な内容が続きますが、連載が終了する頃には、会社法上の合同会社の計算の全体像がわかるようにしていきたいと思っています。
想定事例を設けながら進めた方が、実感がわくと思いますので、次のような事例を想定します。
「事例」
社員となろうとするものがA1名のみとする。Aが現金100万円を出資して、合同会社を設立する。この場合、出資は何に計上して、それはどのようにして決めるのか。
まず、Aの出資の目的及び価額は定款の記載事項です。よって、定款に出資の目的及びその価額を「金100万円」といった具合に記載します。そして、Aが出資を履行します。合同会社の社員は間接有限責任ですから、社員となる(設立)前に出資を完了する必要があります。といっても、社員となろうとする者はAのみですから、自分が自分に100万円を渡すということにはなります。
それで、合同会社の設立時の資本金の額は、出資の履行として払込みを受けた額の範囲内で、自由に決めることができます(会社計算規則44条1項)。会社計算規則上は、社員となろうとする者が定めるとされていますが、設立する合同会社の業務の決定として、業務執行社員の過半数で決定するものと解釈されています。
なお、株式会社のように2分の1以上を資本金の額としなければならない制限はありませんので、たとえば、資本金の額を0円とすることも可能です。資本金の額に計上しなかった分は資本剰余金となります(会社計算規則44条2項)。
仮に、全額を資本金の額とした場合、会社の資本金の額は100万円となります。ただ、合同会社をはじめとした持分会社の場合、資本金や資本剰余金、利益剰余金は社員ごとに管理する必要があります。最低限、次のような管理が必要です。なぜ、そうした管理が必要なのかという理由も、おいおい、書いていこうと思っております。ちなみに、合同会社をはじめとした持分会社では、株式会社にあるような準備金(資本準備金、利益準備金)はありませんので、資本剰余金や利益剰余金を準備金とその他剰余金に分ける必要はありません。
資本金 資本剰余金 利益剰余金
A 100万円 0円 0円
立花宏 司法書士・行政書士事務所
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